1400年の歴史が物語る

1400年前に作られた瓦が、今なお風雨にさらされその役目を果たしています。こんな屋根材があることを皆さんはご存知でしたか。瓦は焼き物で、昔は高価な物でしたから、一般の建物にはなかなか使えませんでした。やがて瓦は改良され、一般にも優れた屋根材として普及するようになったのですが、瓦屋根を支える建物の強度を満たさなかった物が震災被害を大きく表す報道材料になってしまったように思われます。確かに瓦の取付施工技術が、あまく見られていたのも事実です。しかし現在、相次ぐ震災を教訓にガイドラインが設定され、それに基づいた施工法が実施されています。瓦が重いからいけないのではなく、ローコストな優れた屋根材の瓦を支える建物こそ日本の風土にふさわしい建築物だと考えます。


1400年の技術を伝承する


瓦葺き職人の仕事は短時間で覚えれるものではありません。親方の仕事を見ながら、下での仕事から順番にできるようにしていきます。やがて、下での仕事から親方の手元の仕事をします。こういう下積み仕事を根気よく長く、言われなくてもさっさとできるようになることが、一人前の職人になるうえで大事なことです。そして、手際のいい仕事ばかりではなく、人の心を感じ取る精神的な部分を養うことも大事なことです。これらすべての段取りを覚え、何事にも動じない親方になることを瓦職人の修行の道だと思います。

 私が弟子のころ、「仕事はやってあげるものではなく、やらせていただくものだ」いただくものがなかったら、仕事をする価値がないやろって親方によく言われました。金銭的なことではなく、次の仕事に繋げる技術的なことを意味する言葉でした。よく生涯勉強といいますが、職人の道は険しいです。  

だからおもしろいのかも。